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土蔵の浴室
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浴室棟 土蔵改修工事
宮城県柴田郡 木造伝統構法・石場建て 竹木舞下地土壁 延べ床面積 41.25㎡ 2006年竣工 設計・施工 惺々舎 |
朽ちかけていた古い穀蔵を修復し、浴室として再生しました。
柱を栗材で根継ぎし、土壁を塗り直し、桧板の腰壁と簀の子で浴槽の周囲を囲みました。 桧の角材を組んで作ったゆったりとした三畳の大きさの浴槽に浸り、木組みの天井を見上げると、周囲と隔絶した静寂な空間で身も心も安らぎます。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ —「Kappo-仙台闊歩」2006年 vol.22の紹介記事より— 「明治初期に建てられた土蔵一棟を、浴場として改造した。梁や柱といった蔵の骨格は、丁寧な修復工事を経て当時のままに再現。釘や捩子といった無粋なものは使わず、木組みなど先人の高い技術を駆使した「伝統構法」により修復がなされた。 館内は脱衣所や浴場に仕切りがなく、圧倒的な開放感にあふれている。高い天井に張り巡らされた梁や柱は、蔵の重厚感と直線的な美しさを表現。呼吸する土壁は湿気を逃がし、館内は檜の香りだけが清々しく漂う、まさに日本の伝統をとらえた空間という趣である。だが、窓からこぼれる月明かりやダウンライトで穏やかに照らし出されるとその表情は一変。そこには現代アートのインスタレーション作品にも似た、光と水面の戯れが現れる。和の伝統とコンテンポラリーな感性、この多面的な魅力こそが、訪れた人を新鮮な驚きへと誘うのだろう」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ —「MEMO 男の部屋」 2006年SEPの紹介記事より— 「伝統的な木組みの構造をいかし、昔ながらの土壁を補修して再生した蔵湯。塗料は柿渋、べんがら、漆、木の油などすべて自然素材にこだわっている。男が心身を癒す理想の空間のひとつだ。 まずはたっぷりと張られた湯に身を沈め、深く息を吐きだし無心になる。日本男子には至福の時である。目を閉じて身体がほぐれていくのを感じ、ゆっくりと目を開ける。そして何を感じるか。そこからが本当の心地よさへの分かれ道だ。ここは築100年を越す土蔵を再生し、ヒノキの浴槽を真ん中に据えた「蔵湯」。伝統構法による木造建築を得意とする深田真さんが、古くからあった穀倉を甦らせた新たな風呂空間である。静寂のなかに湯船に注ぐ湯音だけが響く。太い曲がり梁があらわになった高い天井を湯船から見上げるひとり湯の開放感…。ゴシゴシ身体を洗うせわしない入浴とは無縁の場所。たまった疲れの澱を流し、心を磨く風呂である。たとえばこんな気分を味わえたなら、晴れ晴れとした湯上がりには、身体も頭のなかも新しくなつているはずだ」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ *季刊誌「考える人」No.16に工房と「土蔵の浴室」の記事が掲載されました。 こちらから記事の一部を御覧いただけます。 |
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