Japan Woodcraft Association様のサイトで惺々舎を紹介して頂きました。

下記アドレスより、Japan Woodcraft Associationのウェブサイトへ移動します。

https://japanwoodcraftassociation.com

 

Japan Woodcraft Association(以下、JWA)とは、日本とイギリスのハーフである木工家ダイゴ・スミス氏が、日本の伝統的な木工技術や道具、思想を、イギリスを始めとする世界のより多くの人に知ってほしい、また、イギリスの人々と日本の木工職人をつなげたいという想いで設立されました。

2019年の8月、惺々舎棟梁の深田がJWAの研究旅行で日本を訪問されたダイゴ・スミス氏とお会いしました。

その時にお話しした内容と、その後のやり取りで行われたインタビューの記事がJWAのブログに掲載されましたので、その和訳をご紹介いたします。

 


Japan Woodcraft Association BLOG

「作り手インタビュー 深田 真 / 惺々舎 」 (インタビュアー:JWA ダイゴ・スミス)

昨年の日本での研究旅行で、惺々舎の主宰であり棟梁である深田真氏にお会いできて、とても光栄でした。

伝統的日本家屋の専門家として、深田氏は設計から施工まで一貫した家づくりを行い、30年以上に渡り大工技術を磨いてきました。私たちは彼と、東京の有名なお茶屋で、アイスクリームの乗った白玉ぜんざいを前に座り、語りました。

(以下、JWA: Japan Woodcraft Association)

JWA: あなたが最も誇りに思っている建物は何ですか?また、その理由は何ですか?

深田: 私が建てた建物の中で最も誇りに思っている建物は「鴨川の家」です。

この家は住む人が快適に暮らせるだけでなく、周囲の自然環境や生きものたちみんなが喜び、心地良く感じることの出来る建物です。このような家を建てることを、お施主様と思いを共有し、協力しながら完成させることが出来たことを誇りに思います。

鴨川の家

(この建物の詳細につきましては、こちらのウェブサイトでご覧になれます。http://www.seyseysha.com/works/2/index.html

JWA: 素晴らしい家屋や木組みを製作する際の秘密のテクニックは何ですか?

深田: 木製品を使う人だけでなく、素材となる木が喜ぶように、木が心地良く感じられるように作ることが大切なことだと思います。かつての日本人は衣食住すべてに於いて、人間以外の存在を大切にして物を作り、暮らしを営んで来ました。古人のその思いと感受性を敬いつつ、もの作りを行っています。

 

JWA: あなたが取り組んだ家づくりの中で最も複雑で難しかったものは何ですか?

深田: 「調布の家」の木構造です。

調布の家・図面
調布の家・図面

(この建物の詳細はこちらでご覧いただけます。http://www.seyseysha.com/works/1/index.html

JWA: ものづくりにおけるお気に入りの道具は何ですか?その歴史や、なぜあなたがそれをとても好きなのかも教えてください。

深田: 指物の修行をしている時に鉋職人に作ってもらった一枚刃の豆鉋です。小さな木工品の場合はもちろんのことですが、それが大きな建築であっても、細部を繊細に仕上げることはとても大切なことです。この豆鉋は自分の指先の延長のように木の表面を繊細に感じ取ることができます。

豆鉋
豆鉋
 

JWA: 好きな木材の種類は何ですか?また、その理由は何ですか?

深田: 木の種類にはそれぞれの良さがあるのでどの木も好きですが、敢えて言えば桧と栗は特に好きです。桧の木肌は、鉋を掛けると女性の肌のような艶と色気が感じられるところが好きです。栗は、雨風に当たり、時を経るほどに味わい深くなり、重厚な表情を見せるところが好きです。

 

JWA: 日本のどの木造建築物(建物または寺院)を英国の訪問者に強く勧めますか?

深田: 寺院で言えば法隆寺をお勧めします。

<法隆寺ウェブサイト>http://www.horyuji.or.jp

民家については第二次大戦以前のものはどれも魅力的なものばかりですが、集約的に見ることが出来る場所は、日本民家園と明治村です。

<日本民家園ウェブサイト>http://nihonminkaen.jp

<明治村ウェブサイト>https://centrip-japan.com/spot/meijimura.html

その中で私が特に好きな建物は、明治村の「森鴎外・夏目漱石住宅」と「幸田露伴住宅」です。

森鴎外・夏目漱石住宅@明治村
森鴎外・夏目漱石住宅
幸田露伴住宅@明治村
幸田露伴住宅

JWA: 木工のキャリアを築くきっかけになったもの(や人)は何ですか?

深田: 木工を始めるきっかけになったのは早川謙之輔氏のチェストを見たことでした。木工品の中に詩情を込めることが出来るということに気付かせてくれました。

インテリア雑誌「室内」1988年4月号
インテリア雑誌「室内」1988年4月号より
 その後大工を志しましたが、それは自分の生まれた家のような家を建てたいという思いからでした。
私の生まれた家は1930年頃に建てられた木造日本家屋でしたが、私はその家が大好きでした。そんな家を建てたいという思いが大工になるきっかけでした。
私の生まれた家(イラスト/深田真)
私の生まれた家(イラスト/深田真)
 
私の生まれた家
私の生まれた家(伯父と母)1934年
 
 そして、大工になって一番衝撃を受けた建築は、枕木だけで建てられた「生闘学舎」という建築です。これは宮下英雄棟梁の指導の元、素人集団が骨身を削って建てた、生命力の籠もった建築です。この建築に出会って自分の大工としての方向性が決まったと思います。
「生闘学舎・建設記録―敗者復活戦」生闘学舎著・修羅書房発行より
「生闘学舎・建設記録―敗者復活戦」生闘学舎著・修羅書房発行より
 

JWA: 現代の日本の木工家では、誰を尊敬していますか?

深田: 私の指物の師匠である山田嘉丙氏(77歳)です。

東京で江戸指物師の三代目として主に茶道具を制作しています。
東京の深川でひとりの職人として心を込めた丁寧なもの作りを行っています。
「江戸指物」江戸指物協同組合発行より
「江戸指物」江戸指物協同組合発行より
 

JWA: 伝統的な日本の木工家で最も尊敬する人は誰ですか?

深田: 法隆寺の大工棟梁であった故・西岡常一氏(1908年~1995年)です。