伝統構法で日本家屋を建てる工務店 惺々舎(せいせいしゃ)は伝統構法による木造日本家屋の設計から施工まで全ての工程を一貫して行う工務店です。設計から完成まで棟梁自らが全ての工程をひとつひとつ心を込めて行います。 |
丁寧に作られた美しくやさしい昔の日本家屋。それは、木や土や石が気持ちよいと思えるように、大地や森や川や生き物たちが気持ちよいと思えるように、そんな風に身のまわりのありように思いを寄せながら作られていました。
惺々舎は、そんなひと昔前のもの作りの思いを大切にしながら家を建てる小さな工務店です。特別なことをするのではなく、ただ自然の摂理に添ってものを作ります。 かつての日本人は「自然と神仏の中で生かされている」という世界観の中で暮らしていました。それは、木や草花のささやかな声を聞き取る力や、見えないものを感じる感受性を古人が持っていたからでした。そして、家を建てる時も、衣服や食事や生活用具を作る時も、祈りの心を持ってひとつひとつ丁寧に新しい命を生み出していました。 そのように作られた日本家屋には、構造に於いても空間構成に於いても受け継がれて来たひとつの「型」があり、失われることなく今もこの国の片隅に残っています。それは自然と人間の力を共生させる術であり、自然の中に秘められた生命力を怖れ敬い大切に扱うことによって、自ずから温もりや安らぎ、普遍的な芸術性や調和感といった恩恵をもたらします。その「型」が尊重され継承されて来た理由は、確かな基層に立脚した古人の豊かな内的世界がそこに投影されていたからであり、「自然を大切に扱うことこそが人間を幸福へと導く」という理を共有していたからでした。 私の生まれた家は昭和初期に建てられた趣のある木造日本家屋でした。戦争で大分痛んではいましたが、私は幼い頃その家で座敷童と共に幸福な子供の時を過ごしました。その家も今は失われましたが、昭和三十年代頃までは、東京にもまだそんな家が沢山残っていたのです。私はその頃の手触りの感覚、仄かな記憶を頼りに家を建てています。そしてその大切なものが未来へと受け継がれることを願っています。 深田 真 |
伝統構法とは、長い年月を掛けて培われた、先人の叡智の結晶である木組みの柔構造。適材適所に配置された杉、桧、松、栗等の木材。昔ながらの仕口と継手。御影石の礎石に石場建て。棟梁が計画全体を構想・設計し、自らの手で木を刻み、諸職と共にひとつの建築をまとめ上げること。作法を守り、やるべきことをひとつひとつ確実に積み重ねること。
この構法の原則は、素材である「木」の立場に寄り添うことですから、自ずから「木」の長所と特性が最大限発揮される柔構造が構成されます。柔構造は、木構造全体を複雑に絡み合わせ、応力を分散し全体で受け入れる構造です。その要は「差鴨居」「足固め」「通し貫」であり、横架材相互の仕口は、原則として「相欠き渡り顎」を用います。壁は竹小舞を下地とした土壁。そして外力に対しては、礎石上に於いて木構造だけで自律した振る舞いをするように構築することが前提です。 構造材は、負担する力の大きさ・方向・役割によって最低でも十数種類の断面寸法の木材を使用しますので、それらを組み合わせる仕口のほとんどは異なる寸法・形状となり墨付けは複雑なものとなります。またほとんどの構造材は完成後も隠れることのない「あらわし」となるため、「刻み」段階から仕上がりまでを想定した繊細な配慮と精度の高さ、丁寧な扱いが要求され、建前までに大工の重要な仕事のほぼすべてが行われることになります。 伝統構法は手間が掛かる手法ではありますが、そのプロセスそのものが建築に生命力を付与する上で大切なものであり、あくまでも人と木の喜びが共にあることを願う「人間と自然の関係が幸福に持続するための技術思想」によって成立しています。これを有効に実行するためには設計と施工を分離することなく、かつてそうであったように、日々木に触れ木から学び構造全体を身体感覚に照らしてまるごと掴む能力を持った棟梁が設計を行い、自然の摂理に添った技術思想そのままに心を込めた丁寧な墨付けと加工を施すこと。つまり棟梁の自然に対する謙虚さと誠実さこそが伝統構法の生命線であり、そのことによって優れた美しい木造建築を生み出すことができるのです。 深田 真 |
日本人は古来より、自然と上手に共生しながら暮らしを営み、文化を育んできました。そして家作りにおいても、自然と共に気持ちよく暮らすための家を建ててきました。
しかし明治時代以降は近代化が進み、更に第二次大戦の敗戦後は急速に暮らしと文化の西洋化が進み、それと共に、自然と共生する暮らしのあり方がこの国から失われて来ました。 かつての木造建築は、地震や台風の多い日本の気候風土に合わせ、木材の特性を生かした柔軟で粘り強い柔構造の原理によって作られていました。それが伝統構法と呼ばれる、千三百年前に建てられた法隆寺に代表される、耐震性に優れ、丈夫で長持ちする建築の作り方です。 しかし昭和25年に施行された建築基準法によって、伝統構法の柔構造で建てることが難しくなりました。今は、伝統構法で家を建てるためには、通常は限界耐力計算法による構造計算を行い、適合性判定を通す手続きが必要になります。 現代の木造住宅は、一般在来工法などと呼ばれますが、これは伝統構法の柔構造とは真逆の、固める構造の原理によって作られています。 伝統構法は、伝統的な仕口・継ぎ手を用いた木組み・貫構造・差しもの構造・土壁・石場建てなどで構成され、地震や台風のエネルギーを、構造全体が揺れながら需要し、粘りながら力を逃がして行く柔構造を作ります。 一方の現代の一般在来工法は、構造金物・筋交い・火打ち梁・構造用合板・面材などによって構成され、木構造と基礎コンクリートを緊結することで一体化し、構造全体を強固に固めることで地震や台風のエネルギーに頑なに抵抗します。 両者は、外見が同じように見えることもありますが、構造の本質はまったくの別物です。 また、使われる素材においては、かつての日本家屋は木や土や自然素材を上手く使うことで家を作りましたが、現代の木造住宅は、木材は接着剤で固め、石膏ボード・断熱材・サイディング等、素材のほとんどは化学物質を含んだ人工建材によって作られています。 現代でも、数百年前に伝統構法で建てられた古民家が再生され、多くの場面で人を惹きつけ活用されています。それは、伝統構法の建築に優れた魅力があることはもちろんのこと、修理や移築や再生が行いやすい造りになっているからです。構造部分が傷んでも、その部分だけを取り除き、新しい部材に差し替えることで何度でも建物を再生することが可能です。そして朽ちたのちも、自然素材は分解されて大地に還すことができます。 現代住宅は、表面部分を人工素材によってきれいに張り替え、見栄えを良くすることはできますが、最も重要な構造部分の再生は極めて困難です。 伝統構法による日本家屋は、あくまでも人と自然が共に心地良く、末永く共存するために作られるものですが、現代の住宅は、経済効率が優先され、今を生きる人間の為だけに作られるものになっています。 この違いの根源にあるものは、ひと昔前までの日本人と、現代の日本人の世界観・自然観の違いにあります。 かつては、人間は自然の一部として、その循環の中で暮らしを営み、社会を作って来ました。そして家も、木や自然素材を丁寧に扱い、丈夫で長持ちするするように作り、寿命が尽きた自然素材は大地に還して来ました。そして、家の寿命が尽きるまでの間に育った木や自然素材で、再び同じように丁寧に家を作りました。自然環境の中で生命が死と再生を繰り返すように、家作りも自然環境の中で循環する持続可能な方法で行っていました。 現代は、自然を大切に扱うのではなく、人間だけにとって都合の良い人工素材を大量生産して家を作ります。人工素材は石油や地下資源を原料とした化学物質を含んでいるので、その多くは寿命が尽きた後は自然環境を汚染します。石油や地下資源は限りあるものなので、これを繰り返せばやがて資源は尽き、環境汚染は広がるばかりなので、この方法に持続可能性はありません。 現代社会は今、気候変動や、大地・海洋・大気・地下水などの汚染、そして未来の世代のために自然資源をどのように守って行くのかという課題に直面しています。 しかし、ひと昔前を思い返せば、私たちはこの国で輸入資源に依存することなく、自然と共生しながら持続可能で豊かな暮らしを営んでいました。 惺々舎は古人の知恵に学び、伝統構法による家作りを通して、この時代において本当の意味で未来に希望を持てる、心豊かな暮らしと家作りのあり方をお施主様と共に模索しています。 惺々舎が大切にしている思いについて、そして伝統構法と日本家屋の奥深い叡智についての更に詳しい解説は、このサイトのphilosophyのページを御覧いただければ幸いです。 http://www.seyseysha.com/philosophy/index.html 深田 真 |
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